「model room / モデルルーム」Statement
満足に眠ることもままならず、自国の未来を想像することもできない。そんな今「夢を見ること」は限りなく不可能になっている。インターネットにはフェイクニュースと下品な広告ばかりが溢れた現代。イメージだけが氾濫し、イマジネーションは枯渇して行く。しかし。こんな時代だからこそ「夢を見ること」について我々は考える。
夢というものは「過去と未来」その両方からやってくる。そしてそれを同時に具現化した空間が「モデルルーム」だ。昨日までの日常。そして、これから訪れるであろう新しい生活。ふたつの異なる時間がひとつの密室にフィードバックされ、人々のイマジネーションは活性化する。つまり「モデルルーム」とは人間に夢を見させる装置なのである。
『僕はアパートの壁に寄りかかって、かつての恋人を想う。若かりし頃に戻りたまふと願わん僕の愚かさ。この部屋の外に夢は無い。この部屋で寝ていたら、まだ少しの夢はみれる気がする。きっとこの部屋の前の住人も、僕のあとに住むであろう住人も、この部屋でなら夢はみれるはず。』
『薄いカーテンをつらぬいて差し込む太陽の光が嫌いだから、布団から出るのがめんどくさくなって、学校を休んだ。だけどすべてが手の届くところにある。友達も、アニメも、YouTubeも、食べ物も、顔を見たことのないちょっとだけ好きな人も。そして夢を見ないためにクスリを飲んで、わたしはこの部屋と世界をリミックスする』